
前回、「空手で突きの威力をアップさせるには(フォーム編)」を書きました。
内容的には、空手の基本となる型について書いただけのようになってしまいました。
今回は、ちょっと「秘密の特訓」的な、突きを打つための筋力トレーニングについて書いていきます。
目次
突きの威力をアップさせるための筋力トレーニング

突きの威力をアップさせる方法には、2種類あり、一つは形(フォーム)を作ること、もう一つは筋トレ、だと前回の記事では書きました。
更に、拳の握り方も重要な要素です。それについては、「空手の拳の握り方について解説します」をご参照ください。
さて、突きを打つための筋トレですが、どこをどのように鍛えるか、を考えなければなりません。
突きを考えたときに、手首、肘、肩がしっかりと安定し、そして体重を乗せた突きが打てることが大事です。
これは、拳だけでなく、握り方や、手首、肘の安定感の向上、突くときの腕の伸ばし方など、腕全体を鍛える要素を考えなければなりません。
かといって、どこもかしこも全て鍛えまくって、腕の筋肉を増やしたとしても、突きの威力が上がるかと言うと、そうではありません。
また、威力を上げることよりも、的確に相手に当てるとか、連打で翻弄するとか、有効な突き方を考えたほうが得策である場合もあります。
それらを全て踏まえた、突くための筋力トレーニングをご紹介します。
やり方には段階があり、初心者が行う筋トレと、上級者が行う筋トレでは、内容が違います。
それではご紹介します。
初心者から始める、空手の突きの威力アップ筋トレ
空手を始めたばかりの初心者の場合、たぶん、拳の握り方も出来ていないでしょうし、突きを打つことすらやったことがないと思いますので、まずは拳立て伏せがよいと思います。
なんだ・・、そんなことか・・。と思うかもしれませんが、やはりこれが一番簡単で確実な方法だと私は確信します。
お金も掛からず、器具も必要なく、自宅で今すぐ出来ますから。
さて、そのやり方ですが、いきなり床でやりません。
最初はあまりきつくならないように、壁に向かって拳を立てた状態で、体を斜めに倒し押し付けていくことで拳や腕に掛かる負荷を調節しながら、力が拳頭に集中するように体勢をつくります。
そのとき、拳をいろいろな角度で当てたり、腕をまっすぐ伸ばした状態で押し付けたり、曲げる角度を調節したりして、拳や腕に掛かる負荷で、手首、肘、上腕を鍛えます。
このとき拳の握り方も同時に練習出来ます。拳をあまり握りこまなくても、拳の形が崩れなければよいことが分かってきます。
壁や柱で行う場合、前屈立ち、三戦立ち、騎馬立ち、浮き足立ちなどの立ち方で、順突き、逆突き等をやってみることが出来ます。
このときも、拳を壁に当てて、少々押し付けることで練習します。
立ち方と突き方の両方が練習できるので、とても良いと思っています。
これでしたら、低負荷ですし、やっても1日5~10分くらいです。これなら毎日出来ます。
ある程度、拳の握り方や、腕に掛かる負荷に慣れてくるまで、約3ヶ月もあれば十分でしょう。
以上が初心者用です。
空手の突きのための筋トレ :中級者向け
約3ヶ月の初心者用の筋トレに慣れてきたら、今度は負荷を上げます。
床にタオルでも敷いて、拳立て伏せを行います。これにより、手首、肘、肩の負荷の掛かり具合が大きくなり、よい鍛錬となります。
最初は、単に拳立ての状態で静止していてもかまいません(伏せなくて良いです)。
拳を正拳や縦拳にしたり、肘の開き方を変えたりして、角度をいろいろと変えてトレーニングします。
長時間行うのではなく、あくまで手首、肘、肩の負荷を掛け、筋肉を鍛え、安定感を作るためです。
腕の曲げ伸ばしの回数よりも、時間で測ります。3分くらいでしょうか。それを3セットぐらいでよいと思います。
これもたくさんやる必要はありません。なぜなら、腕の筋肉をつけることが目的ではなく(手段ではありますが)、突きの威力を上げるために行うものです。
これぐらいの負荷に耐えられれば、型を行ったときにもしっかりとした突きが、ある程度できるようになってきます。
指導経験からすると、これも約3ヶ月続ければ、もうそれで終わりです。
あまりこだわってやる練習ではありません。
次の段階に入ります。
空手の突きのための筋トレ:中級者~上級者まで
前述は全て、初心者から始めた場合のやり方です。
空手をやり始めて半年から1年くらいであれば、次に紹介する練習方法で筋トレを行います。
そして、これが今回のメインの内容です。
「拳立て呼吸法」と勝手に名づけています。
さて、やり方ですが、壁に向かってやる拳立ての状態を作ります。
初心者のところで紹介したやり方です。
腕をまっすぐに伸ばした状態で、深呼吸をします。
息を吸うとき、自然に肩甲骨が前にせり出し、結果的に腕が前に伸びるような感じになります。
吐くときは、呼吸に合わせて、元に戻していきます。
腕の曲げ伸ばしはしません。伸ばした状態のままで、吸うとき肩甲骨がせり出して、吐くとき戻る、ということを繰り返します。
これを10回くらい繰り返します。
慣れてくれば回数を30回まで増やします。
これに慣れてくれば、次は、床で同じことを行います。
これはかなり負荷が高いので、最初は膝を付けた状態の拳立て伏せの形で行います。
10回の2セットを、まあまあ出来るようになってくれば、通常の拳立て伏せの形で行います。
このやり方で20~30回呼吸できれば、これは完成です。
これはパンチ力を上げる最良最速の方法です。
腕立て伏せを回数行うよりも、こちらのほうが絶対に効果が高いです。
私の秘密のトレーニング方法です。
皆さん信じないかもしれませんので、文章だけでしたらいいかな、と思い、ここに公開しました。
最後は巻藁突き(初心者~上級者まで、誰でも)
突きの威力を上げるには、巷で言われているような、広背筋の力ではありません。
最近では、前鋸筋を鍛えることがパンチ力アップにもっとも良いといわれています。
先ほど紹介した「拳立て呼吸法」は、その前鋸筋を鍛えるための最良の方法です。
特別な器具も、場所も要りません。
自宅で、こっそり、誰にも知られずに、パンチ力を上げることが出来ます。
もちろん、私もやっています。
さて、「拳立て呼吸法」をやっている間も、型の稽古や、基本練習はやっていると思います。
いくら筋トレで筋肉をつけても、それを使えるように持って行かないと無駄になります。
そこで最後は、やはり巻藁突きです。
空手の突きを練習する上で、これ以上のものはないかもしれません。
- 拳頭を鍛える(拳ダコが出来る)
- 突くことで、手首、肘、肩の使い方を覚える
- 型を踏まえた突きの練習ができる
という、いくつものメリットがあります。
いろいろなフォームで巻藁を突くことで、鍛えた前鋸筋を自由に使えるように練習していきます。
ここまで練習して、やっと突きの威力がアップした、と言えるでしょう。
この状態が、バランスの取れた、今の体で最高の、威力のある突きが打てるもっとも良いコンディションである、と言うことです。
ここだけのコネタ
ちなみに、もう書いてしまいましたが、
この「拳立て呼吸法」は、私の秘密特訓法です。
このやり方をしている人は、ほとんどいないと思います。
前鋸筋の鍛え方として、腕立て伏せの状態で、肩甲骨を上下させる運動はよく知られています。
ですが、前鋸筋は呼吸を補助する呼吸筋としての役割もありますので、
呼吸と共にやるほうが、実はもっと効果的なのです。(と思いますが・・)
パンチ力アップのための秘伝です!
この記事を読んだ方だけの秘密として、みんなにはナイショでこっそり練習しましょう。
まとめ

空手で突きの威力をアップさせるための筋トレをご紹介しました。
- 初心者は、壁にもたれかかって拳立て。
- 中級者は、床で拳立て。
- 中級者~上級者は「拳立て呼吸法」
- 最後は型稽古を行いながら、巻藁突き。
以上です。
参考になれば幸いです。